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トップ>ペット法務/8.迷子のペットを飼う場合




法律により犬には必ず鑑札(狂犬病予防法§4V)と狂犬病予防注射済票(狂犬病予防法§5V)を着けておくことが義務付けられています(違反は20万円以下の罰金)。従い迷子の犬には通常鑑札が付いているのでそこに記載されている登録番号から保険所で飼い主を特定することができます。
鑑札の付いた迷子犬(所有者名の記載ある落し物)を気に入ったからといって黙って飼った場合は窃盗罪(刑法§235:10年以下の懲役)となります。鑑札を付けていないことを理由に警察署に届け出ず自分で勝手に飼った場合は占有離脱物横領罪(刑法§254:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金/科料)となります。鑑札を装着していない迷子犬は「遺失物」に該当しますので、速やかに警察署に届け出ることが遺失物法で規定されています。

警察署に届出ると、警察署に備え付けてある閲覧用の書面に迷子犬として記載され3か月間の公示期間(遺失物法§7)が経過しても遺失者(元の飼主)が判明しない場合、拾い主が正式な飼主になることができます(民法§240)。遺失物といっても迷子犬は生きものですから拾得者が希望すればその間自分で飼育することが認められています(遺失物法施行令§4T)。
公示をして3ヵ月たっても元の飼主が現れない場合、迷子犬の所有権は正式に拾得者に移転します。明らかに捨て犬であれば無主物扱いになりますので警察署に届け出る必要はありません。拾った人が所有権を主張できます。捨て犬か飼犬が逃げてきただけかは首輪の有無、鑑札の有無だけではなく、犬種・芸・見かけなどからもある程度判断できます。2022年6月より、犬猫販売業者には、マイクロチップ装着が法律で義務化されたので、今後は飼主を特定しやすくなり、迷子犬の問題の大半は解決することが期待されます。


【迷子のペット事件判例】

(8-1) 【東京地判平29.10.5】 引渡命令

10年ほど飼養していた犬(Golden Retriever)好きの女性が、犬大嫌いの男と結婚前提で同居始めたところ、間もなく、男は犬に口輪をはめて公園に連れて行き、柵につないで帰宅した。気の毒な犬を見つけた夫婦が犬を保護し、同時に警察に遺失届を提出、その際、3か月以内に飼主が見つかれば返還するとの確認書に署名した。インターネット上のSNSで自分の犬が保護されていることを知った女性は、遺失物の所有権が移転する3か月が経過する10日前に同居の男と離別し、警察に犬の遺失届を提出、保護している夫婦と連絡を取って返してほしいと頼んだが、夫婦は、犬をこんなひどい目に合わす飼主には渡せないと拒否したため、女性は犬の返還を求めて裁判に訴えた。

愛護動物が放置された場合、その飼主が当該動物の生命、身体について重大な危険があることを認識しながら、あえてこれを放置したなどの事情が認められる場合には、その飼主の所有権放棄の意思が推認される場合があるが、置き去りの客観的な態様(遺棄したのは飼主ではなく飼主の同居の男)について、当時飼主が明確に所有権を放棄したと認識していないと認められ、同居の男が犬を遺棄してから4年後に、裁判で、飼犬は元の飼主の女性に返却せよと引渡命令が言い渡された。