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トップ>クーリングオフ/2.クーリングオフの意義



突然訪ねて来た強引な訪問販売のセールスマンの口車に乗せられてうっかり高い浄水器を買う契約をしたとか、長時間の説明に根負けして住宅リフォーム工事の契約を締結したとか、後で冷静に判断してみると、不必要なものだったことに気づいた場合、「特定商取引に関する法律」(通称「特商法」)に従ってクーリング・オフの制度があります。この制度の目的は消費者の利益保護と事業者による不当な勧誘行為の抑制です。

クーリング・オフとは「頭を冷やすこと」、つまり、消費者に対して、本当にその商品やサービス(役務)が必要であったのか、もう一度冷静になって考える時間を与えるという趣旨であり、その具体的猶予期間が「特商法」に定められているのです。

契約の申し込みや締結をした後で「やっぱりいらない」、「よく考えたらこんな高価な商品は必要ない」と気がついた消費者は、法定の猶予期間内であれば、一方的に無条件で契約の申し込みや締結を撤回・解除することができます。その際、撤回・解除の理由を説明する必要もなく、もちろん相手方事業者の同意など必要ありません。

■特定商取引とされるものには次の取引が特商法に規定されています。

特定商取引

  
訪問販売・通信販売及び電話勧誘販売に係る取引
 
連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引、訪問購入に係る取引
   

訪問販売や電話勧誘販売などでは不意打ち性が高く、複雑な仕組みの連鎖販売取引ではその実体である悪徳商法に気付く前に契約してしまうことが多いため、消費者に冷静に考え直す機会を与えるためクーリング・オフの制度ができました。

特商法・特商法施行令・特商法施行規則が三点セットで販売事業者の守るべき義務を規制しており、その中で規定されている取引においては、期間内であれば消費者は販売事業者に対して、無条件で申込みの撤回や契約の解除をすることができます。

もし、販売事業者にこれらの法令に対する違反があれば、消費者は当然のことながら業者の承諾を求める必要もなく契約を解除できますし、たとえ販売事業者に違反がなくても、一定期間内であれば、一部の商品・サービスを除いて消費者は無条件で契約を解除することができます。
消費者がクーリング・オフの権利を行使すると、業者は受け取った金銭を速やかに返還しなければならず、消費者が既に受け取っている商品については、業者の費用負担で引き取る義務が発生します。違約金・解約金なども一切請求できません。

クレジット払いなどとセットの契約であれば、割賦販売法(通称「割販法」)・割販法施行令・割販法施行規則が三位一体となってクレジット事業者の義務を規定し、弱い消費者を保護すべく援護射撃を加えます。


特商法は平成21年6月改正(同年12月1日施行)され、クーリング・オフの対象を原則全ての取引とすることになり、しかも連鎖販売取引(マルチ商法・ネットワークビジネス)とか継続的役務提供契約(エステ・語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室・結婚相談所のサービス提供)においては、クーリング・オフの期間が過ぎてからでも中途解約できるようになるなど、ますます消費者保護は強化されてきました。