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トップ>ペット法務/2.ペットによる傷害事故


 
  (1)犬が人に怪我をさせた場合
  (2)子供の連れている犬が人に怪我をさせた場合
  (3)犬が他の犬に怪我をさせた場合
  (2A)ペットによる咬傷事故判例
  (2B)ペットによる咬殺事故判例

(1)犬が人に怪我をさせた場合
鎖につないで犬を散歩させている間に犬が他人に咬みついてけがをさせた場合、原則は犬の占有者である飼主が被害者に対する治療費及び肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料を負担しなければなりません。
民法§718T「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。但し、動物の種類&性質に従い相当の注意をもってその管理をした時は、この限りでない。」従い、ペットの飼い主はそのペットが起こした事故などについては賠償する責任を負うのであり、相当注意をしてペットを管理していたと挙証できない限り責任を逃れることはできません。

世の中で起こっているほとんどの咬傷事故は、相当の注意をして管理していた時に起きているのではなく、たまたま気を抜いたときに偶然リードが伸びて(或いはリードが切れて)運悪く人に咬みついたという最悪の偶然が重なった瞬間に起きているので、飼主は「相当の注意」をしてペットを管理していたとは立証できないでしょう。犬に加害前歴等があれば、飼主は単にリードを短く持って最大の注意して散歩させていたと主張しても責任を免れることは難しいとみるべきです。もともと民法§718Tに規定されている飼主の免責条項が適用される場面は不可抗力等の例外的場合に限られ、加害犬の飼主が責任を免れることはないと考えた方が現実的です。もっとも、被害者側に被害誘発の原因等(可愛い犬だと思って被害者が勝手に犬の身体に触ったときに咬まれたなど)があれば、被害者の過失割合が考慮されて損害賠償額が減額されます。

咬みつき事故による被害の程度がひどいときには、飼主は民法§709により不法行為に基づく損害賠償の責任も負うことになります。被害者側と納得のいく和解に至らない事件については、刑事責任(過失傷害罪:刑法§209、30万円以下の罰金/科料)を問われる場合もあります。(過失傷害罪は親告罪ですので、被害者が警察に告訴しなければ刑事事件に発展しません。通常、和解した相手は告訴しません。)このような事故が起こった場合は、本格的な紛争に至る前にお近くの行政書士事務所で双方が納得できるような和解契約書(示談書)を作成することが大切です。


(2)子供の連れている犬が人に怪我をさせた場合

大型犬を子供に散歩させて他人に怪我をさせた場合は、賠償責任能力のある両親などが責任を負わなければなりません。民法§820(「親権を行う者は、子の監護&教育をする権利を持ち、義務を負う。」)により、親には子供の監護義務がありますので、過失なく子供の監護義務を怠らなかったと立証できる場合を除いて、監護義務者が損害賠償請求を受けることになります。


(3)犬が他の犬に怪我をさせた場合
公園で散歩させていた犬が突然他の犬に咬みつき怪我をさせた場合などは、原則として加害犬の占有者たる飼主が損害賠償責任を負わなければなりません。相手の犬に被害が生じている以上、民法§718T「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。但し、動物の種類&性質に従い相当の注意をもってその管理をした時は、この限りでない。」により飼い主の責任を免れるほどの「相当の注意」をして管理していたとは認めにくいからです。

けがをした犬(又は死亡した犬)の損害は法律上物損事故として扱われます。損害額の算定については、被害を受けた犬が怪我をして病院にかかったのであれば、通常必要な範囲での治療費全額、死亡してしまったのであれば、同種の犬を新たに購入する場合の代金を損害額とします。けがをしたペットを動物病院に連れていくため会社を休む必要があった場合などは休業損害賠償を請求できることもあります。犬が死亡した場合の慰謝料については、人が死亡した場合とは大いに異なり、あくまでも物損事故の中で論じられますので、通常わずかな金額にとどまっています。しかし、加害犬の飼主が綱を外して自由に放していた、などの重大な過失がある場合は、慰謝料の金額の算定時に考慮されることになります。

もし、被害を受けた犬から先に攻撃を加えて、その結果加害犬に逆襲された場合などは、双方の過失相殺として、損害賠償額が減少することになります。双方に過失が認められる場合、通常は加害者側の過失の割合が結構大きく認められているようです。日本スピッツ医療過誤事件裁判において「我が子同然それ以上に溺愛し、飼育してきたにも拘らず、被告らの悪質な医療ミスにより愛犬を失い,計り知れない精神的苦痛を味わった」として10才直前のかけがえのない愛犬をなくした夫婦が慰謝料350万円を請求したのに対し、東京地判平16.5.10で慰謝料60万円が認められた例があります。東京地判平28.12.14では、飼猫を失った夫婦に慰謝料100万円を認めています(猫は虐待死)。

加害犬を連れていたのが子供であれば、その賠償責任は子供の両親などが負うことになります。民法§820(「親権を行う者は、子の監護&教育をする権利を持ち、義務を負う。」)により、親の監護義務違反として、責任が追及されるからです。現実に事故が発生している以上、過失なく子供の監護義務を怠らなかったと立証できる場面は極めて限られていると言わざるを得ません。しかも、環境省告示「家庭動物飼養保管基準」§4-5-(1)「犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと」違反のおそれもあります。体の小さい子供に大型犬の散歩をさせた場合の事故であれば、刑法§261の器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金/科料。親告罪ですので告訴が必要)も成立し得ます。その場合は、被害者と早めに和解契約を結ぶことが刑事告訴を避ける最良の方法です。加害者が和解に応じないときは警察に被害届が出され刑事事件に発展するものです。


【2010年9月14日ニュース−名古屋地裁】
2010年4月、愛知県春日井市の狂犬病予防注射会場で、小型犬(Yorkshire Terrier、当時2才)が後ろに並んでいた犬に咬み殺された事件で、飼主は市職員らが適切な措置を怠ったためとして、市と犬の飼主を相手取り、計約140万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

被害に遭った犬は、飼主が予防注射の料金を支払う際、後ろにいた、5倍の体重差がある雑種の犬に咬み殺された。加害犬の飼主は「相手の犬が近付いてきたのが原因」などと述べ、請求棄却を求めているが、被害に遭ったペットの飼主は「市側には、犬が興奮して暴れないよう飼主に適切な指示を与えたり誘導したりする義務があった」と主張し、「家族の一員のように育ててきた愛犬を無残に咬み殺された」として、市と加害犬の飼主に、慰謝料100万円や購入代金などの支払いを求めた。訴訟で市側は「犬同士が接触しないようにするのは飼主の義務」と市には責任がないと主張しているが、いずれにせよ死亡事故が発生している事実はあるのであるから、被害に遭った犬の飼主の過失が一定割合認められたとしても、加害犬の飼主が一切の責任を免れることはできないと思われます。


(2A)ペットによる咬傷事故判例
 
(2A-1) 【福岡地判平28.1.12】 2,150万円
北九州市小倉南区の住宅街で、飼主宅の室内で飼われていた超大型犬(Bernese Mountain Dog)が,飼主の留守中に逃げ出し、自宅の駐車場で車から荷物を下ろしていた60代女性に飛びかかって手や腕、腹などに咬みつき、女性は指を骨折するなど重傷を負い、後遺症が残った。     →全文を見る

(2A-2) 【東京高判平25.10.10】 1,725万円
平成23.5.21東京の高級マンション内で反町隆史・松嶋菜々子夫婦(俳優・女優)の飼っている大型犬(Doberman)を当時6才の同夫婦の子が散歩に連れ出そうとしたところ、同じマンションの敷地内で、住人母子めがけて犬が勝手に走り出し、4才の子に向かってきたので、母親が子をかばうため間に入ったところ、大腿部を咬まれ、救急車で病院に運び込まれたという事件が発生した。    →全文を見る

(2A-3) 【名古屋地判平14.9.11】 799万円
平成11年12月、市内の路上を散歩中の男性(当時49才)に、突然背後から飼い犬が襲い掛かり、ふくらはぎを咬みつかれた。男性は、左膝内障傷害と診断され、更に、咬まれた直後に当該犬が狂犬病の予防注射をしていなかったことを知り、狂犬病発症におびえてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した    →全文を見る

(2A-4)【東京地判平28.1.19】 724万円
ガソリン給油所経営者が飼い犬(柴犬)を事務所入口の支柱に長さ160cmの鎖につないでいたところ、従業員の一人が突然右手を咬まれ、中指切断の重傷を負った。飼主は給油所の会社の社長であり、そんな場所に犬をつなぎ止める方法では、飼い犬による危害の防止策として不充分、給油所の安全性にも問題があるとして、     →全文を見る

(2A-5) 【大阪地判昭61.10.31】 230万円
大阪府池田市で男性が大型犬(秋田犬、体重35kg)を鎖につないで散歩させていた時、近づいて来た顔見知りの女性(28才)が犬に手を出したので、飼主は「怖くないですよ」と答え、自らその女性に犬を連れて近づいたところ、急に犬が女性に飛び掛り顔に咬みつき、鼻尖部挫滅創の大怪我を負わせた。      →全文を見る

(2A-6)【東京地判平14.6.27】 208万円
飼主が都内の路上で、秋田犬(体重27kg)を手綱につないで散歩させていたところ、近所の知人女性(当時52才)が歩行中、すれ違いざまに飼主に挨拶、「メイ(犬の名)ちゃん、今晩は」と飼犬にも挨拶した途端、この犬が女性の顔面に咬みついて、女性は顔面裂傷等の傷害を負った。       →全文を見る

(2A-7)【名古屋高判平15.9.4】 204.5万円
愛知県で開催された犬のマラソン大会会場の公園で、見物に来た愛犬家が、同じ愛犬家の飼育する大型犬(Bernese Mountain dog)に右手を咬まれて傷害を負った事故につき,裁判官は犬の飼主の不法行為を認定し、損害賠償を命じた。
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(2A-8) 【大阪地判平30.3.28】 200万円
大阪府茨木市で、飼犬と散歩中の女性(40代)が、リードにつながれていない大型犬(体重23kg)に飛びかかられ,腕や背中,尻などを咬まれて2週間のけがを負った。
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(2A-9) 【福岡地判平17.7.8】 175万円
男性が、隣家の飼犬が吠えるのを止めさせようと、開いていた門扉から隣家に侵入したところ、隣家の飼犬に脚を咬まれ、1ヵ月入院の大怪我を負った。その男性は犬の飼主に対し、約530万円の損害賠償を請求した。           →全文を見る

(2A-10) 【福岡地判平16.9.21】 150万円
夜、福岡県那珂川町の歩道を男性が綱をつけて秋田犬を散歩させていたところ、歩道を自転車で走行中の女性のズボンの裾に犬が咬みつき、その弾みで自転車が転倒、その上、女性は背中や腕に咬傷を負い、1週間入院した。そのショックでめまいや嘔吐など、恐怖心による急性ストレス障害に陥ったため、裁判で、犬の飼主に対し、約310万円の損害賠償を請求した。      →全文を見る

(2A-11) 【東京地判平27.12.25】 126.4万円
株式会社が運営するpet shopの店長が、自己の飼育する犬4頭を毎日のように店の事務所内に連れてきて放し飼いしていたところ、事務所にファイルを取りに入った女性従業員(アルバイト店員)が1頭(中型犬、Australian cattle dog)に腕を咬まれ負傷した。→全文を見る

(2A-12) 【東京地判平26.1.10】 115万円
東京メトロ千川駅近くのビデオレンタル店に立ち寄った際、付近の歩道上に飼犬(大型犬Siberian Husky、体重25kg)を15分くらい長さ80〜90cmのリードでつないで残していた間に、この犬が、同じ店に向かっていた小型犬(Boston terrier)の頭とその飼主の手を咬み、飼主は10針を縫う咬創を負った。       →全文を見る

(2A-13) 【京都地判平14.1.11】 74万円
大同生命保険会社に勤務する保険外交員の女性が、訪問した会社で飼っていた中型犬(約1mの鎖で繋がれていたShepherd系雑種)に腕を咬まれ、訳5か月の通院(実数は22日)を要する傷害を負った。治療が終わった後もしびれ・醜状瘢痕などの後遺障害が残ったため、女性は飼主である会社社長に、約439万円の損害賠償請求を行った。  →全文を見る
          
(2A-14) 【東京地判平29.1.20】 55.4万円
柴犬を長さ1.42mのリードをつけて公道を散歩させていた男とすれ違った女性めがけて飼犬が襲いかかり、右足大腿部部分に激しく咬みつき,通院加療約44日間の咬傷を負わせ、その上スカートをはけない程度の醜状痕が残っているとして、飼主に170.5万円の損害賠償を請求した事案。       →全文を見る

(2A-15) 【広島高判平15.10.24】 50万円
小学校5年生の女子が他人の家につながれている飼犬に口部を咬まれて傷害(12日の通院)を負い、後遺障害が残ったとして、当該女子とその両親が,飼主に対し、慰謝料等の損害賠償を請求した。飼主は、公道から自由に出入りできる自宅車庫に犬をつないでおり、「犬にさわらないで」という看板を設置していた。
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(2A-16) 【最判昭37.2.12】 34.4万円
大型犬Great Dane(グレートデーン)2頭(体重45kg及び56kg)を同時に住宅街で散歩に連れ出していた小柄な男(身長160cm、体重49kg)が、その力に負けて犬を制御できず、2頭の犬が9才の女児に飛びついて咬みつき重傷を負わせた事件      →全文を見る

(2A-17) 【東京地判平30.2.2】 29.4万円
SNSで知り合ったPomeranian(体重3kg)の飼主とLeonberger(体重50kg)の飼主が、それぞれ犬を連れて横浜の飲食店で会い、お互いの犬を紹介しようとしたところ、両方の犬がうなりだし、突然大型犬が小型犬を口にくわえてしまい、小型犬が右腕部咬傷の重傷を負った。
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(2A-18)【東京地判平4.1.24】 23.4万円
明治神宮外苑内において、女性が飼犬(柴犬4才、雄、体重約13.5kg)を鎖でつないで連れて散歩中、放し飼いで遊ばせていた犬(雑種、雄、女性の飼犬とほぼ同程度の体重)が駆け寄って女性の犬に襲いかかったので、女性が飼犬を抱き上げたが、その際、犬が女性の右前腕部に咬みつき、約1か月の治療を要する咬傷を負わせた事件。    →全文を見る

(2A-19) 【大阪地判昭41.11.21】 19.6万円
電気工事業者(当時61才男性)が、タオル印刷業者に依頼されてその敷地内で工事をするためはしごを取りに行ったところ、鎖に繋留されていたShepherd犬(6才雄、体長165cm)に突然右下腹を咬みつかれ、腸壁の動脈破裂、その後3週間入院、46日間通院する羽目になった。      →全文を見る

(2A-20) 【名古屋高判昭32.5.10】 15万円
昭和23年、当時3才10ケ月の女児が友人3人と近所の菓子雑貨店にお菓子を買いに行ったところ、金属の鎖で繋留されていたアイヌ犬が突然女児に襲いかかり、女児を押し倒して顔面・頭などに咬みついた。当時店の者は留守で不在、被害者側は100万円の肉体的及び精神的苦痛に対する慰謝料を請求した。      →全文を見る

(2A-21) 【横浜地判昭33.5.20】 10万円
横浜市の米人特設区域内に居住する米軍関係者夫婦同士(隣人)の飼犬による咬傷事件についての損害賠償請求裁判。慰謝料を含む損害賠償130.5万円を請求した被害者は、小型犬の飼主で米軍中佐夫人。一方の加害者側犬の飼主は米軍軍属の米国人男性で、それまでは犬を放し飼いにしていた。        →全文を見る

(2A-22) 名古屋地判平15.7.29】 懲役3年+犬の没収
名古屋市中川区の庄内河河川敷で、獰猛な体長約1m、体重約20kgの闘犬(American Staffordshire Terrier、2才)の引き綱を放し、男性3人に怪我をさせ、また過去約10回にわたり通行人や散歩中の飼犬を襲った疑いで飼主の男(64才)が傷害罪で起訴された。
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(2A-23) 【横浜地判昭57.8.6】 懲役6月+罰金5万円
趣味で軍用犬Doberman Pinscherを飼っていた男が、酒に酔ったついでに面白がって通行中の女性に綱から放した犬をけしかけ、足に大けがを負わせたとして逮捕され、傷害罪(刑法§204)等により懲役6カ月、罰金5万円の判決を受けた。    →全文を見る

(2A-24) 【大阪地判昭46.9.13】 0円
飼主宅前に長さ1.5mの鎖で繋留されていた秋田犬(体長1m)の前を通った女性が、突然犬に飛びかかられ、右肘部を咬まれて傷害を負い、約71.7万円の損害賠償を請求した事件。この犬は、食事の邪魔をされたり、身の危険を感じたりしない限り通行人に危害を加えたことがなかった。       →全文を見る


(2B)ペットによる咬殺事故判例

(2B-1) 【札幌地判平27.1.28】 6,300万円
平成26年2月、北海道白老町の海岸を散歩中の主婦(当時59才)が放されていた2匹の土佐犬(いずれも3〜4才の雄で、体重約50kg、体長1m超)に襲われ死亡した。女性の顔や腹などに、かまれた傷が多数あった。2匹の犬に突然襲われて海に追い込まれ、最終的に溺死したのだ。     →全文を見る

(2B-2)【甲府地判平26.3.6】 5,433万円
平成23年8月夕刻、市内を散歩中の女性(当時56才)が、中型の飼犬に襲われ、転倒して頭を強く打ち、1カ月後に死亡した。この犬は、繋がれていた紐(リード)が切れて飼主の男性(71才)宅から逃げ出したところだった。    →全文を見る

(2B-3) 【最判昭57.9.7】 3, 914万円
1975年3月、大阪市内で闘犬を飼育していた夫婦(内縁関係)の土佐犬(当時3才、体重50kg)を、使用人が散歩に連れ出したところ、路上で祖母に連れられて散歩していた幼児(2才の長男、一人っ子)がこの土佐犬に襲われ、顔、首、頭などを咬まれて死亡した事故が発生した。     →全文を見る

(2B-4) 【神戸地判昭61.3.28】 3,020万円
昭和57年2月15日、神戸市須磨区のハイキングコースで小学1年の同級生二人が遊んでいたところ、猪狩りをしていた猟師ら7人が連れていた猟犬6頭のうち、5頭が突然一人の男の子に一斉に襲い掛かって咬みつき、男の子は7時間半後に死亡した。  →全文を見る

(2B-5) 【水戸地判昭57.9.16】 2,921万円
昭和53年3月正午過ぎ、5歳の少女が自宅近くの農道で、2匹の犬に襲われ、全身咬創による出血多量、肺損傷により死亡した。咬傷は、顔・首・胸・腹・背・太腿などに及んでいた。2匹の犬は近くの別荘で飼われていた雄の秋田犬で、しばしば放飼いにされていた。
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(2B-6) 【東京高判昭52.11.17】 200万円
母親のお使いで7才の姉と4才の弟が買い物に出かけたところ、途中で野犬(体長約1mの成犬3頭)に襲われ、男の子は全身を咬まれて1時間45分後に死亡した。事故が起きた昭和46年当時、千葉県には約4〜5万頭、事故のあった木更津保健所管内には2,000〜3,000頭の野犬がいたとされる。         →全文を見る

(2B-7) 【東京地判昭47.7.15】 150万円
交配用の犬を飼っている業者が、小型犬(Pomeranian、雄)を散歩させていたところ、見通しの悪い交差点付近で約7m離れたところに秋田犬(生後1才2ヶ月、40kg)を発見、足先30cm前にいた小型犬を急いで抱きかかえようとしたが、秋田犬に咬まれて即死した。飼主は秋田犬にリードをつけて散歩していたが、制御できなかった。   →全文を見る

(2B-8)【名古屋地判平18.3.15】 67万円
名古屋市内の歩道をリードをつけて散歩させていた小型犬(miniature Dachshund、5才)に、鎖から外れて敷地外に出た中型犬(雑種、3才半)が咬みつき、殺してしまった。加害犬の飼主女性(77才)は、普通は自宅敷地内で放し飼いにしており、この日は、たまたま散歩に連れ出すため鎖をつけようとしていたところ、    →全文を見る

(2B-9) 【東京地判平29.12.12】 33.5万円
小型犬(miniature Dachshund、12才、体重6.5kg)を、飼主が路上で散歩させていたところ、中型犬が、リードから離れて突然一方的に小型犬に襲い掛かってその腹部に咬みつき死亡させた。突然飼犬を失った飼主夫婦とその10才の子3人が、加害犬の飼主に対し慰謝料など損害賠償を請求した事件。       →全文を見る

(2B-10) 【東京高判昭36.9.11】 30万円
友人のBoxer犬(3才)を勝手に散歩に連れ出し、東京都内の土手で遊ばせていたところ、たまたま放し飼いしていた他の犬と突然咬み合いの喧嘩になり、負傷して肺気腫症を起し、それが原因で死亡した、として、飼主に損害賠償を請求された。    →全文を見る

(2B-11)
【大阪地判平27.2.6】 23万円
小型犬(Chihuahua、15才)を散歩させていたところ、大型犬(Shepherd)を飼育している経営者の店舗前において、突然、飼主の不充分な管理により逃げ出した大型犬が小型犬に突進して接触し、同小型犬がショックによる心不全により死亡したため、小型犬の飼主が民法718条に基づき、計58万円の損害賠償を請求した事案。     →全文を見る

(2B-12)
【大阪地判平21.2.12】 20万円

飼主にぴったりついて散歩していた飼い猫が、突然家の鎖から離れて路上に出た紀州犬(中型犬)に咬みつかれ、この猫が死んでしまった。飼犬は、普通は紐につないでいたが、金具が偶然付け根から抜け落ちたため、犬が離れてしまい、敷地外に出たのだった。
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(2B-13)【春日井簡判平11.12.27】 19万円
飼主の母が近所の公園で小型犬(Pomeranian、当時8才)をリードにつないで散歩していたところ、大型犬1匹と中型犬2匹を同時に散歩させていた男性(当時66才)から、大型犬が小型犬めがけて飛びかかったため、男性はそのはずみでリードが手から外れ、小型犬はあっという間に左胸部を咬みつかれた。        →全文を見る

(2B-14)
【那覇地判平7.10.31】 禁固1年

闘犬愛好家の会の会員であった男が、自己の飼育していた闘犬(American Pit Bull Terrierオス)2頭(体重24kg及び32kg)を、口輪をはめないまま漫然と公衆の出入りする公園付近で放し飼いにし、その監守を怠った重大な過失により、公園で遊んでいた幼児2名を襲わせ、うち1名を即死させた事故。        →全文を見る