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    →(15)ペットの交通事故判例

飼犬が交通事故で負傷した場合、治療費及び飼主の慰謝料はどこまで認められるか、参考になる判決がある。平成17年に発生したトラックと乗用車の追突事故により、乗用車後部座席に乗っていたペットの犬が大けがをして、乗用車側(夫妻)がトラック側(運転手+雇用者の会社)に対し約990万円の損害賠償を求めた裁判だ。一審の名古屋地裁は負傷した犬の治療費等88万円、夫妻の慰謝料80万円、弁護士費用18万円、合計186万円の支払いを命じたが、納得しないトラック側が控訴し、その結果、二審名古屋高判平20.9.30はこれを大幅減額修正して、犬の治療費等12.2万円、夫妻の慰謝料36万円、弁護士費用5万円、合計53.2万円(正確には532,850円)の支払いを命じて確定した。(この事故で、夫妻も骨折・挫傷・頭部外傷等の障害を負った)

民法上、犬は「物」であるから、治療費の上限がいくらかが問題になる。保険では、車両のような物であれば、修理費用がかさみ過ぎると、全損とみなして、車両の時価相当額を補填する。購入価格65,000円のペットの犬の場合に、この原則をあてはめると、認められる治療費の上限は65,000円となる。それ以上治療費がかかるなら死んでもらいましょうというのは、他人の不法行為により負傷した命ある動物について、妥当ではない。

名古屋高裁は、社会通念上相当と認められる治療費等の限度を13.6万円としたから、どうやら購入価格65,000円の二倍を目途にしたと思われる。(最終的には、夫妻側に1割の過失相殺が適用され、12.2万円)なお、当該犬は、事故により、後肢麻痺を負い,自力で排尿・排便ができず,日常的に飼主による手当てを必要とする状態に陥った上に、車椅子も必要になったので、車椅子製作料25,000円も認められた。

慰謝料については、いくら子供のいない夫婦が、わが子のように可愛がって育てていた犬とはいえ、裁判官にとっては所詮「動物」でしかないので、原審を半額にして40万円(1割の過失相殺後36万円)とした。犬が死亡した場合に近い精神的苦痛を飼主が受け、しかも犬の生涯介護が必要になる点を考慮しても、夫婦一人20万円、二人で40万円程度が、「社会通念上」認められる慰謝料の限度と判断された。

また、トラックに追突された際の犬の負傷について、犬用シートベルトなど動物の体を固定するための装置を装着させるべきところ、そのような措置を講じなかった夫妻には、被害者といえども、1割の過失があると認定され、過失相殺が相当と認定した。

いずれにせよ、民法上「物」であるペットの治療費上限が、必ずしも購入価格(時価相当額)とされないこと、負傷したペットの飼主の慰謝料が賠償すべき損害と認められたことの意義は大きい。交通事故で命を落とした犬の火葬料も、加害者に負担させた判決もある。(東京高判平20.9.30


(15A)ペットの交通事故判例

(15-1) 大阪地和解平28.3.8】 300万円
平成26年春、夜9時頃、大阪市内の商店や住宅が立ち並ぶ地域の路上で、リードを付けない飼犬(小型犬toy poodle)が自転車にぶつかり、乗っていた親子が転倒し、母親は左足骨折などの大けが、8才の娘は左足打撲のけがをした。     →全文を見る

(15-2) 【名古屋地判平22.3.5】 294万円
盲導犬(身体障碍者補助犬法§2U)と共に横断歩道を横断していた男性が、事業用大型貨物自動車に衝突され、男性は入院1カ月の重傷、盲導犬(6才)は死亡した。男性はその後1年半ほど通院した後に症状固定、運送会社は、保険で約216万円の慰謝料などを支払ったが、     →全文を見る

(15-3) 【名古屋高判 平20.9.30】  53万円
Labrador Retriever犬(7才)を同乗させていた飼主夫妻の普通乗用車が、赤信号で停車中に、牛乳輸送の大型貨物自動車に追突され、そのはずみで、飼主夫妻の乗用車も、更にその先で赤信号停車中の別の普通乗用車に追突した。     →全文を見る

(15-4) 【名古屋地判平22.3.5】 24.5万円
幹線道路上で普通乗用車が時速50kmで走行中、野良犬を追って走っている大型の飼犬(Rottweiler種、1.5才、体重約50kg)が急に飛び出し自動車の前方に衝突、犬は死亡したが、自動車の所有者が被害車の修理代30.6万円を請求した。飼主はもともと綱につないで散歩させていたが、     →全文を見る

(15-5) 【大阪地判平27.8.25】 12.6万円
夫婦の乗用車が停止しているところに、同じく乗用車が追突した事故により、被害者車両に同乗していた飼犬(toy poodle、体重4kg)が傷害を負い、この犬の所有者である夫婦に損害が生じたとして、追突した加害者に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求した。
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(15-6) 【 東京高判 平20.9.30】  7.7万円
犬を散歩させていた歩行者(63才、主婦兼パートタイマー)に酒気帯び居眠り運転の乗用車が突っ込み、女性と犬は即死、被害者の夫と二人の子が加害者の運転手に損害賠償を請求した。     →全文を見る

(15-7) 【東京地判昭40.11.26】  5万円
昭和39年4月午後7:40p.m.頃、東京都大田区路上において、犬(Dachshund)の飼主の従業員女性が犬を散歩させ、道路を横断しようとしていたところ、突然右側から進行してきたタクシーに犬の頭部が接触し死亡した。この時、運転手は一瞬振り向いて徐行したがそのまま走り去った。     →全文を見る