大阪・岸和田のアミ・インターナショナル 行政書士事務所                                  クーリング・オフ、国際法務、ペット法務はお任せ下さい。
  
  
(4A)ペット不可マンション判例


(4-1) 【京都地判平13.10.30】   235.8万円
マンションの一室を、月額13.1万円(車庫・管理費込)で家主から借りていた住人が、中型犬(Shetland Sheep Dog)を飼育しているのがばれて、賃貸契約を解除され、違約損害金支払いを求められた裁判で、賃貸契約書通り、家賃の1.5倍の違約損害金支払いが命じられた。この賃貸物件は5年以上前から現賃借人の父名義で借りていたが、途中で相続が発生し現在の居住者が賃貸契約当事者になっていた。契約書には「賃借人は建物において動物を飼育しない」ことが明記されており、「契約違反により契約を解除されたときは,1か月につき賃料等の1.5倍の損害金を支払う」ことになっていた。賃借人は、この契約書は知っていたが、管理会社である鰍r興産の担当者から犬の飼育について承諾を得ていたと主張、他の入居者で同じ犬種を飼っている者がいる、どこからも苦情が出ていない、管理会社も動物飼育を黙認しているなどと抵抗したが、賃貸人(マンションの所有者)が、動物が部屋を損傷すること、動物特有の臭いが部屋にしみ込み次の賃借人が入居を嫌うこと等で禁止しているのであるから、犬の飼育を許可する権限ある者の承諾がなければ何人も入居し得ないと判示された。契約解除(平12.11.13)の翌日(平12.11.14)から賃料の1.5倍の違約損害金(月額19.65万円)を退去するまで支払えと命じられたので、その額は判決日時点で1年分=235.8万円となる。



(4-2) 【大分地判平17.5.30】 101万円
分譲住宅販売会社がマンション販売に際し、ペットを嫌う客に「ペット禁止住宅」であると説明して売り、ペットを飼育している客には「ペット飼育可」であると説明して売った事件で、結局この業者は、両方の入居者から損害賠償請求された事案。正確には、ペット飼育については、入居者の代表で構成するマンション管理組合で決定することになっていたが、業者が説明義務を果たさなかったことが不法行為に当たるとされ、非飼育者である入居者と、飼育者である入居者の双方に合計101万円の損害賠償命令を言い渡された。他人のペットによって生活の平穏を害された入居者も、ペットを飼えなくなって精神的苦痛を訴える入居者も、もとはと言えば、マンション販売業者の説明義務違反から、共に業者の信頼を失った事案である。



(4-3) 【東京地判平6.3.31】 80万円
集合住宅内で、小鳥及び魚類以外の動物を飼育することを管理組合規約で禁止しているにもかかわらず、独自にペットクラブを設立し犬猫を飼う仲間と管理組合規約を無視する行為をしていた組合員(住民)2名に対し、管理組合及びその代表理事が、住民総会で承認された訴訟を提起した事案。犬の吠え声及び排泄物の問題や、犬が子供にじゃれついておびえさせる等の問題から、住民より管理組合に管理組合規約違反と苦情があった。管理組合規約で一律に犬猫の飼育を禁止するのは不合理で、ペットをかけがえのないパートナーとして求める人の人権を無視するものだと犬の飼主は主張したが、裁判官は、共同住宅内の共同生活の秩序維持を図る管理組合の自治的活動が優先され、管理組合規約は有効であると、ペット飼育禁止を命じ、飼主2名に合計80万円の損害賠償を命じた。(内40万円は弁護士費用)



(4-4) 【東京地判平8.7.5】 40万円+飼育差止命令
14階建て分譲マンションにおいて、管理組合規則で「小鳥及び魚類以外の動物を飼育すること禁止」となっているにも拘わらず、小型犬だから関係ないとシーズー犬(Shih Tzu)を飼育していた夫婦が、管理組合代表に訴えられた事件。管理組合は犬の飼育差止と訴訟費用60万円の損害賠償を請求した。飼主夫婦は、ペットの飼育は日本国憲法第13条(幸福追求に対する国民の権利)及び第29条(財産権の保障)によって保障された重要な権利であると主張したが、ペットを飼育する権利は人格権、privacyの権利のように個人の人格そのものにまつわる権利と同一視することはできないのであり、しかも公共の福祉に反しない限りにおいて尊重されるものであるから、被告の主張には理由がないと退けられた。もちろん、飼主夫婦の飼犬に対する財産権は保証されるが、ペット禁止マンション内における犬の飼育とは関係ないとされた。管理組合は何度説得しても管理組合規則違反が解消されないため、やむなく弁護士に訴訟の提起を委任し、着手金30万円、成功報酬30万円で訴えに至ったが、判決は、犬の飼育差止命令及び弁護士費用のうち飼主夫婦の不法行為と相当因果関係に立つ損害額40万円の支払いを命じた。



(4-5) 【東京地判平13.10.11】 30万円+禁止命令
マンションの管理規定で「小鳥及び魚類以外の動物の飼育禁止」と定められているにもかかわらず、室内で小型犬を飼い続けていた区分所有者を、マンション管理組合とその代表者が訴えた事案。被告は、このマンションを購入した際、前主も犬や猫を飼っていたと仲介業者から説明きいたとか、「犬を飼いたいというのは子供たちで私ではないからどうしようもない」などと居直り、立ち退きを要求されると「いずれ犬の飼育ができる住宅に買い替えて引っ越すが、それがいつになるかわからない」と言い逃れをしてきた。動物飼育禁止規定のある住宅に引っ越してきてから、1年以上にわたり、口頭・書面にて管理組合から注意されても無視し続けたため、ついに管理組合が100万円の損害賠償を求める裁判に訴えたところ、東京地裁は30万円の損害賠償と、住宅内における犬の飼育禁止を命じた。



(4-6) 【横浜地判平3.12.12】禁止命令
七階建て集合住宅(分譲マンション)の一室を購入した男性(区分所有者)が、契約した時は旧管理規約(動物飼育禁止の文言無し)を不動産販売業者に見せられ、ペットの犬(English Beagle)を室内で飼育していたところ、マンション管理組合(実態は他の入居者)と問題になった。ペットの飼主は、マンションを購入してから引っ越ししてくるまでに、改正された新管理規約を受け取っていたが、そこには「動物の飼育はトラブルの最大の原因ですので一応禁止されています」と記載されていた。ペットの飼主は、契約時点でペット飼育は禁止されておらず、新管理規約でも「動物は全面的飼育禁止」の趣旨でないと居直っていたが、管理組合の説得に応じないため、管理組合は、4分の3以上の圧倒的多数で、全面的飼育禁止条項を含む最新管理規約に変更した。それでもペットの飼主は受け入れず、マンション管理組合理事長が原告となり、被告飼主に対して犬の飼育禁止命令を出すよう訴えた。

裁判所は、同集合住宅でペットを飼育している区分所有者が被告のみであること、被告以外の大多数の区分所有者がペットの飼育に反対していることから、当該住宅は防音設備・防臭設備を備えた住宅の構造になっていないため、被告の主張する「他の居住者に全く不利益を与えていない」とは認められないとして、原告請求通り、飼育禁止を命じた。(控訴審 東京高判平6.8.4= 棄却)



(4-7) 【東京高判平6.8.4】  管理組合規約は有効
集合住宅の管理組合規約で動物の飼育を一律に全面禁止しているのは、動物の飼育により具体的に被害が発生していないのであるから、管理組合規約に規定する「共同の利益に反する行為」とはいえない、と主張する犬の飼主を管理組合の管理者が訴えた裁判で、裁判官は、「マンション内における動物の飼育行為を具体的な被害の発生する場合に限定せずに一律に禁止する管理組合の規約が当然には無効であるといえない」と判示し、全面的に集合住宅内での犬の飼育禁止を定めた管理組合規約が、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすものとは言えないとして、管理組合規約の有効性を認めた。犬の飼主は、ペットは飼主の生活を豊かにするばかりか、自閉症の息子にとりその治療的効果があると主張したが、動物の飼育は共同の利益に反する行為であるとして、具体的に他の入居者に迷惑をかけたか否かにかかわらず、それ自体で管理規約に違反する行為であるとして、飼育禁止命令を出した。



(4-8) 【福岡地判平16.9.22】  住宅販売会社免責
マンションの販売業者が「小型犬なら飼育しても特段問題ないと思う」と言ってマンションの一戸を販売した後、管理組合規則が制定され、ペット飼育禁止になったため、転居を余儀なくされた住人が、住宅販売会社を重要事項説明義務違反、債務不履行、不法行為等で訴え、908万円の損害賠償請求した事案。住宅販売後、住民の3/4以上の賛成で具体的管理組合規則が制定され、ペット飼育禁止になったとしても、住宅販売会社が虚偽の説明をしたとは認められず、住宅販売会社側の重要事項説明義務違反、債務不履行、不法行為は成立しないとした。